シエラクラブのボランティア2/カアラファーム(カイル) |
ワイアナエ(オアフ島)にあるKa’ala Farm and Cultural Learning Centerです。タロイモをつぶしてポイを作るデモンストレーションを行う伝統的な草屋根の合掌作り小屋「ハレ」が写真の右側に見えています。
先日に引き続き、シエラクラブの寄付者へのお礼遠足についてです。アロハアイナエコツアーズのバンで、オアフ島の西海岸、リーワードサイドにある二つのオーガニックファームを訪れました。
遠足の集合場所はイオラニ宮殿。寄付者の皆がそれぞれの車で行くよりツアーバンで行った方が移動しやすいですし、VIP気分が味わえます。車の中でゆっくりできますし、何より環境にやさしいです。環境保護団体であるシエラクラブが主催するボランティアプロジェクトやクラブのアウティング(トレッキング等のアクティビティー)ではなるべく相乗りするようメンバーは心がけています。
まずカアラファームに行きます。正式名はKa’ala Farm and Cultural Learning Centerです。ホノルルから一時間半ぐらいの場所にあります。
カアラファームは1970年代にできた非営利団体です。その設立の背景にはいわゆる「ハワイアンルネッサンス」があります。ハワイアンルルネッサンスとはハワイアン文化復興運動のことです。当時多くのハワイアンの若者たちが西洋文化を拒否し、自分の祖先であるアイデンティティーと文化の価値を再び見出し、昔のハワイアン文明を見本にして新しい行き方を築こうとした運動です。ハワイアンのあらゆるコミュニティーでタロイモの栽培が復活されました。タロイモはハワイアンの伝説ではハワイアン民族の兄弟という存在です。ハワイアンの主食であるタロイモの栽培を通して、西洋文化によってもたらされた麻薬やアルコール中毒、物的社会価値観から離れようとしました。タロイモの他にハワイアンカヌーもハワイアンが西洋文化に相対するシンボルとなりました。もともと航海民族であったハワイアンですが、その航海術を復活し、航海用の大型カヌーを何百年ぶりに作り(その第一号がホクレア号)、カヌーを通して再び自分たちの文化の知恵とハワイアンの伝統的な生き方を学ぼうとしました。カアラファームはこのハワイアンルネッサンスの一環としてできたものです。
カアラとういうのはオアフ島の最高峰の名前です。(1230m)その麓に西海岸のワイアナエ地区があります。今でも貧困、麻薬とアルコール中毒、ホームレス問題に悩まされている地区です。
カアラファームが設立された当時、その地区の若者たちがハワイアンの存在を話し合うグループを作り、カアラ山裾をハイキングした際、古代のタロイモの棚田と複雑な水路システムの遺跡を発見します。何もない、ただの茂みだと思っていたところに高度な農業が行われていたことを発見し、改めて自分の文化にプライドを持ち、自分たちの文化について考えるきっかけとなり、水田と水路を作り直すのを決心したのです。最初は自発的にできた組織でしたが、今は正式な非営利団体となりました。
それから数十年後、完全に西洋文化を拒否するのは難しいものの、カアラファームはハワイアンにとって大切な場所となりました。古来の水田と水路の回復作業は今も続いていますが、その作業とタロイモの栽培を通してハワイアンに、そして非ハワイアンにもハワイ文化の知恵と文化を伝える大切な役割を果たしています。小学生から社会人、麻薬中毒者へのプログラムも行われているヒーリングセンンターでもあります。
カアラファームはカアラ山の裾にあります。写真の右側にある山がカアラです。山頂まで登る登山道がありますが、簡単な岩登りが必要なルートで上級コースです。山頂に固有種の多い湿原があります。
門の前に小さな沢があり、ガイドしてくれるアンクルブッチさんにご挨拶。(ハワイアンはよくアンクル「おじさん」と名前の前につけて呼びます。アンクルブッチが説明してくれます。「ハワイアンは聖なる場所に入る前によくオリを歌います。[オリは日本のお経のように唱える「歌」のようなものです。]入っていいかという許可を聞くわけです。君たちの中で誰か歌える人いますか?」普通ここに来る前には学ぶ誠意があることを示すために覚えておかなければならないようです。が、この日はカアラファームの別のスタッフが代わりに歌ってくれました。
オリは自分の心を清める役割があるようです。心を潔白にして、検挙になって沢を渡ります。沢を渡り、木の下から出て、オアフ島の最高穂カアラ山がまず見えてきます。(以上の写真)
タロイモ、ティー、ノニ、ウル(パンの実の木)、ワウケ(楮)などが生えています。ファームの中を歩きながらアンクルがカアラファームの由来、ハワイアンの伝統的文化、環境をだめにする西洋の農業システムなどについていろいろと面白い話を語ってくれます。カアラファームの将来の話もしてくれました。このような非営利団体はやはり経済的に大変です。わずかなグラント(政府や非営利団体などからの補助金)でいろいろなプログラムを行いながら、カアラ地域の棚田の遺跡を調査したり、修復したりしてタロイモの栽培を拡大していきたいそうです。太古の昔この辺りで作っていたタロイモは西海岸に暮らしていたハワイアンを十分食べさせることができたそうです。
アンクルブッチがポイを作り食べさせてくれました。アンクルは意外なことに100%の白人でした。
最後にアンクルがポイを少し食べさせてくれました。ポイは蒸したタロイモを石の道具でつぶして、水と混ぜて作るハワイアンの主食です。(もちろん、スーパーで売っているものは機械で作っています。)日本の方はハワイ通も多く、ポイをトライしたことある方が多いかと思います。皆さん「ポイは酸っぱいものだ」と口を揃えて言いますが、作り立ての新鮮なものは甘みがあって美味しいものです。余談ですが、地元の人はポイを常温で数日寝かせて発酵して酸っぱくして食べるのが好きです。アンクルの作り立てオーガニックポイは美味しくて何回もおかわりしてしまいました。アンクル、ごちそうさまでした!
次のオーガニックファームに行く前にお礼のオリを歌わなければなりません。私たちのメンバーの一人がそのオリを知っていたので皆のために歌ってくれました。この方も白人でした!ハワイアンの文化はハワイアンだけが勉強してサポートしているわけではないですね。
さて次に行ったオーガニックファームについては次のブログにします。アロハ!