アホウドリの巣立ち(カイル) |
翼を広げ風に乗る練習中の雛。頭や体にまた羽毛が残っています。
オアフ島最西端カエナポイントはアホウドリが繁殖地です。2月頃、卵から孵ったアホウドリの雛たちは目の前でどんどん大きくなり探しやすくなります。5月頃までは簡単に12羽ほどの雛を数えることができましたが、今月7月のはじめには5羽、先週は2羽しか見つけることができませんでした。ほとんどが飛び立ったわけです。この最後の2羽は一生懸命羽ばたく練習をしていました。数日前に貿易風が本格的に戻ったので、きっとその2羽は風に乗る準備をしているでしょう。
今年の繁殖期は大体2週間毎にカエナでトレッキングしてアホウドリの雛たちの成長を見守りました。野良犬やネズミ、オオグンカンドリや悪天候など外敵天敵の多い雛たちですが、僕が見た限り今年は雛の多くが無事に飛び立ちました。
親のアホウドリにとって雛を育てるのは大変な仕事です。雛がだんだん大きくなるにつれて食べる量も増えますので何度も何度も海と陸を往復してエサを運んできます。巣から離れる時間がだんだん長くなります。成長したアホウドリの体長は80センチ、翼の幅は2メートルほどの大きな鳥、親鳥にとって雛を育てるのはかなりのエネルギー消耗となります。
海からエサを獲って戻ってきました
実際どのように親のアホウドリは雛にエサをやるのでしょうか。他の海鳥は獲った魚を嘴でくわえて雛に運びますが、アホウドリの場合は、一旦お腹に入れて運びます。海から戻ってきた親はまず雛の上を数回飛び、急ぐ様子もなく平らで植物があまり生えていないところに着地します。
それからどたどたと歩いてきてきます。(飛んでいる様子は優雅で迫力がありますが、地面では体が大きいせいか歩く様子はかなり滑稽です。)少しグルーミング、それからやっとエサをあげる体勢に入ります。
ピンク色の舌が見えます
姿勢を低くして体を前に傾け、お腹の中身を喉に戻しそれから嘴を大きくあけて舌で戻したエサを雛の嘴に押すようにして食べさせます。エサをお腹から吐く様子は簡単そうには見えません。吐いている様子はビデオでどうぞ。
悲しいことにどんなに食べさせても雛が飢えて死ぬこともあります。親鳥が、ライターやプラスチック製の浮きの破片などの漂流物を魚だと思い、それを雛に食べさせてしまうこともあります。雛は親鳥のように胃からプラスチックを戻すことができないため、お腹がプラスチックで膨れてしまい食べ物が入らず死んでしまうのです。風と海流の関係で太平洋の多くのゴミがハワイに流れてつきます。その悪影響がアホウドリの繁殖地にも及んでいるのです。