2008年 10月 09日
ハワイの断崖絶壁・その2(カイル) |
オアフ島コオラウ山脈の断崖絶壁(カスタムツアーにて)
ハワイの断崖絶壁についての続きです。海のイメージの強いハワイですが、美しいダイナミックな山がたくさんあります。今日はどのようにそれらの断崖絶壁ができたのかを簡単にお話ししたいと思います。断崖絶壁を生み出したのは地滑りと浸食です。オアフ島コオラウ火山の名残、コオラウ山脈を例にして説明したいと思います。
コオラウ山脈の断崖絶壁がどのようにできたかを説明する標識。背景にコオラウ山脈が見えています。(オアフ島、カネオヘにて)
ハワイは地球の歴史から言えば太平洋プレートに生まれたばかりの新しい諸島です。水深4千メートルという深い海底にあった火山が大きくなりました。コオラウ火山の場合は海底から測ると6千メートルほど成長したと考えられています。その火山の形がまるで戦に使う丸い盾を地面においたように見えることから、火山用語では「シィルドボルケーノ」(盾状火山)と言います。火山の成長のピーク時にはカルデラの幅が12キロメートルにもなりました。約180万年前に、とうとう巨大に成長した火山は重さに耐えきれず東側の斜面が崩れ落ちました。恐らく世界一の土砂崩れです。コオラウ山脈東の海底沖調査では、何と沖190km先までこの地滑りの跡が見られるそうです。この地滑りによって巨大な津波も起きたことでしょう。地滑り跡、火山の残りの部分が浸食されて、今の断崖絶壁ができました。このような地滑りは全ての島で見られるものです。写真に出ている標識のクローズアップを見るとコオラウ火山がどれほど大きかったかよくわかります。
「火山の女神ペレが去ると彼女の山が削られます」
波による浸食もありますが、どちらかというと雨による浸食が主です。雨は長い年月をかけて溶岩の石を浸食します。ハワイでは、高山のある地形のため、山方面で雨がよく降ります。雨が特に多く降るのは島の北東側のため、火山の北東側の浸食の方が南西側より進んでいます。それは雨をたくさん運んでくる貿易風が北東の方向から吹いてくるからです。あの爽やかな風が山の形を変えているのです。昨日のブログで紹介した断崖絶壁(オアフ島のコオラウ山脈、モロカイ島のバックサイド、カウアイ島のナ—パリ海岸)はどれも、それぞれの島の東や北、つまり貿易風が吹いてくる方向、島の風上側に位置します。
島が古い分、雨による浸食も大きいので、やはり若い島であるハワイ島にはあまり断崖絶壁がありません。ハワイ島北東側のハマクア海岸は数少ないハワイ島の断崖絶壁の一つです。
ハワイの地質や地形も知るととても面白いものです。ぜひ実際に見ながらご案内したいと思います。
ワイロア河口から見る断崖絶壁。(ハワイ島:ワイピオ渓谷にて)。ハワイ島の火山はまだ若く、盾状火山ですが、いずれは大きな地滑りが起き、オアフ島のコオラウ山脈やカウアイ島のナーパリ海岸のような地形になると予想されています。
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by alohaaina
| 2008-10-09 15:49
| ハワイの自然