クォンオン (カイル) |
この床屋さんに行きはじめたのは2年前からです。以前は日系人の床屋さんに通っていました。昔は日系人の床屋さんが多かったのですが最近はすっかり少なくなり、代わりにベトナム人の床屋さんが増えました。
ハワイではこのように新しい移民の人たちが、まず農業、工場、そしてサービス業、飲食店、そして時代を経てホワイトカラー、教師などの頭脳労働についていく傾向があります。
少々ステレオタイプですが、大体どの人種も一世は昼も夜もなく一生懸命働き、子供に教育を与え、その子供の人生の選択肢を広げてやる努力を惜しみません。一世である親の世代が始めた店や仕事を二世、三世がファミリービジネスとして継ぐこともありますが、親の世代で終わりという例も多々あります。日系人の床屋さんもその例の一つです。
最近ではカイムキにあるクォンオンという古い中華菓子の店の閉店が話題になりました。この店の名物は焼きチキンマナプア(肉まん)とピーナッツキャンディです。早速閉店前にと、かけつけたところ、やはり店の外まで人があふれて行列を作っていました。マナプアは買うことができましたが、残念ながらピーナッツキャンディーは売り切れでした。奥の厨房では、いつものように、ご主人が一生懸命ピーナッツキャンディを作っていました。
オーナーのチンさん(75歳)は、美味しいものを作れば人は来る、値上げはしない、という主義で41年この店を続けてきたそうです。3人のお子さんの中には弁護士になった人もおり、結局後継者がいないのが店をやめる理由のようです。子供たちは殆ど休み無しでお菓子を作るお父さんをもちろん尊敬し感謝しているでしょうが、高等教育を受けた子供なりの道もあります。そして自分の子供のアメリカでの成功が一世の目的でもあったのです。私のベトナム人の床屋さんも同じアメリカンドリームを目指していると思います。
古い店がだんだん少なくなってきている理由は、後継者不足の他にも、大型店が入って来て競争が激しくなったり、人の食べ物の好みが変わったりと、その理由はさまざまです。また、ハワイの物価、特に店の家賃の上昇も大きな原因でもあります。
理由はともかく馴染みの古い店がなくなるのは悲しいものです。
クォンオンは今月半ばまでだそうです。チキンマナプアとピーナツキャンディーが買えるのも今のうちですよ!